第135回 「醤油」のお話

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○食卓には欠かせない醤油が誕生するまで

 日本古来から調味料として親しまれ、食生活が洋風化する中でも欠かせず、むしろ世界進出する醤油。・・・はて、これってどうやって製造するのでしょうか。大豆を使うのは解るんだけれども。ということで、今回は醤油の話であります。

 製造法に入る前に、ちょっと醤油の歴史を紐解きましょう。
 醤油のルーツは、古代中国で使われた「(ジャン/ひしお)」であるといわれています。この醤(ジャン)とは、原料を塩漬けにして保存して発酵させたもの。その原料は多岐に及び、果実、野菜、海草などを材料にした「草醤(くさびしお)」、魚や肉を使った「魚醤(うおびしお)、肉醤(ししびしお)」穀物を原料とする「穀醤(こくびしお)」などがあります。
(参考:しょうゆ情報センター http://www.soysauce.or.jp/

 この醤という調味料は、稲作の伝播と共に東アジア各地へ伝わり、既に弥生時代には日本にもやってきます。最初は魚を原料とした魚醤などもあったようですが、次第に大豆を原料とした醤油でほぼ一本化。仏教の教えで、あまり動物性の原料は好まれなかったのだとか。なお、後ほど紹介しますが、醤油と味噌の製法は途中まで同じで、既に奈良時代には両者の中間のようなものが調味料として宮中で出されていましたが、鎌倉時代に醤油が誕生しました。
 *ただし、秋田の「しょっつる」や、香川県の「いかなごしょうゆ」は魚醤が原型です。
  ちなみに、ヴェトナムの調味料として有名なヌクマム(ニュクマム)も魚醤が原型。

 さて、こうして出来上がった当時の醤油は、現在では「溜まり醤油」といわれているもの。
 主に関西で普及しましたが、江戸時代になると、特に江戸で濃口醤油が好まれるようになります。
 ・・・と、たまり醤油?濃口醤油?どう違うの?となりましたね。
 
 それでは、まず「溜まり醤油」の作り方を見ていきましょう。
 ちなみに、現在では東海3県(愛知、三重、岐阜)の特産品です。

○製造方法

 溜まり醤油の場合、大豆を主原料とします。

 1.まず大豆を洗い、水に浸した上で、圧力釜で長時間蒸します。
 2.蒸した大豆を冷まして、小さな塊に分離していきます。
 3.こうして出来た塊(かたまり)にカビ、すなわち麹菌(こうじきん)をふりかけ、くっつけます。
 4.さらにそれを、32~33度の部屋で3~4日間放置(このタイミングが重要なポイント)。
   すると、大豆塊の周りで、麹菌が菌糸をのばし、覆っていきます。
   また、大豆の内部では酵素が働き始め、タンパク質アミノ酸に、デンプングルコースに分解されます。

   ・・・実はここまで、味噌と全く同じ製造過程です。

 5.続いて、今度は木桶(おけ)の中に入れた麹菌付きの大豆塊へ、原料の半分程度の食塩水を投入します。
   ぐあ、何をする~・・・と、ここで麹菌は死滅し、諸味(もろみ)と呼ばれるものが出来上がります。
   こうして、桶の中には味はまだまだですが、ドロドロになった醤油の原型が誕生。
 6.さらに、3年かけて、「汲みかけ」というのを行い、その名の通り、汲むようにして混ぜていきます。
   酵素はまだ働いていますが、こうすることによって、今度は麹菌に変わって、乳酸が発酵していきます。
   
  こうして実に良い味に仕上がり、醤油が出来上がるということです。
 

○工期を短縮せよ

 こうして、溜まり醤油が出来るまでには3年もかかってしまいました。
 これでは、手間がかかりすぎて、コストも高くなってしまう。そのため、江戸時代初期までは高級品だったのです。

 ならば、どうすれば手軽に、早く出来上がるのか。
 研究を重ねた結果、大豆半分、小麦半分で造ってみたらどうか、という結論に達しました。
 小麦はグルテンが多く、これがペプチドに代わり・・・以下云々、と、当時の人はそこまで考えたかどうかは不明ですが、ともあれ、小麦半分だと醤油の甘みや香りに実に良い具合になってくれる。しかも、6ヶ月程度で出来上がる。こうして誕生した醤油が、「濃口醤油」。ちなみに、色や風味を薄くしたのが「薄口醤油」です。

○醤油の種類

 濃口醤油は、江戸っ子の好みに合ったようで広く普及していきます。特に、現在の千葉県野田市や銚子市が主産地となります。
 その代表格が、現在も全国の食卓を席巻するキッコーマン、ヤマサなどの醤油。
 そして現在、全国のしょうゆ消費量の約82%を濃口醤油が占めています。

 一方、薄口醤油は関西発祥で、約15%のシェア。素材の色や風味を生かして仕上げる料理に非常に便利です。

 それから、白醤油というのもあります。愛知県碧南地方で生まれ、薄口よりもさらに淡い琥珀色をしているのが特徴。
 それもそのはず、実は主原料が小麦なのです。大豆はあまり使いません。
 淡白ながらも甘みがあるそうなのですが、個人的に食したことが無いのであまり勝手なことは書けません(笑)。

○個人的にオススメ! 甘露醤油

 さて、醤油にはもう一種類、再仕込み醤油というのがあります。これは別名、「甘露醤油」とも言って山口県柳井市を中心に山陰や九州北部などが主な生産地。通常の醤油は、麹を食塩水で仕込みますが、再仕込み醤油は、なんと醤油で仕込みます。そのため、非常に濃厚で香りも実に良い。
 
 刺身のお供にも最適で、是非一度は味わっていただきたいです。
 (下写真:山口県柳井市の佐川醤油)

 ちなみに、オンラインで甘露醤油を買うことも出来ます。
 http://www.sagawa-shoyu.co.jp/shop/index.htm
 ただ、3000円以上から発送なので、そんなに醤油を買っても一人だと使い切るのにえらい時間がかかる・・・(笑)。

 オススメサイト
 キッコーマン 亀甲仙人の醤油塾 http://www.kikkoman.co.jp/soyworld/school/index.html
  濃口醤油製造大手、海外進出も盛んな千葉県野田市のキッコーマンのホームページ 非常に詳しく製造方法が載っています。
 ヤマサしょうゆ博士 http://www.yamasa.com/soydoc/index.html
  キッコーマンと並ぶ濃口醤油製造大手。千葉県銚子市のヤマサしょうゆHP。こちらも詳しく解りやすい!!

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